イラストノベルス ザ・キング・オブ・ファイターズ オロチ完結編
発行年月日:1998年2月20日
出版社:芸文社
項数:128ページ
定価:1,600円(税別)
概要
芸文社が発行していたSNKオフィシャル情報誌『ネオジオフリーク』の増刊という形で出された、『THE KING OF FIGHTERS』シリーズのストーリー解説本です。
所謂「オロチ編」が展開されたKOF'97までのメインストーリーがイラスト付きで分かりやすくまとめられており、「どういう話なの?」という質問に対してはこれ一冊突きつけておけば、オロチ編のことなら概ね解決するのではないでしょうか。
まぁ、私の経験則で言えば、この質問をしてくる人はオロチ編までは理解しているもののネスツ編以降をフォロー出来ていない場合がほとんどなので、そういうケースに対しては全く役に立たないんですけども……。
カラーイラスト
巻頭ではネオフリの誌面を賑わせていたイラストレーター諸氏による描き下ろしのイラストギャラリーが掲載されています。
ただ当時においてKOFのイラストとなると、やはり森気楼氏が描く写実的な公式ヴィジュアルの印象が強いものですから、本書に収録されたイラストの同人誌やアンソロジーコミックを思わせるタッチにはどうしても、ある種の違和感を覚えてしまいます。
オロチ概念
そもそも「オロチ」とは何なのかをサクっと見開き2ページで解説したページです。
KOFシリーズ最大最強の敵・オロチがどういった存在で、何を目的に表舞台に現れたのかを端的にまとめてくれていますが、本書自体がそういう内容の書籍ということもあって、ここに書かれている情報は後のページでも繰り返し散見される形となるため、結果的に「このページ、要る?」感が漂っているのは内緒です……。
作品別登場キャラクター
歴代4タイトルをそれぞれ1ページずつ、作品のあらすじと主要キャラクターの動向のまとめで振り返るコーナー。
キャラクター紹介
文字通り、シリーズの主要キャラクターをイラスト、プロフィール、これまでの出演作と劇中の活躍の簡易まとめで以て紹介するコーナー。
取り扱う対象を三種の神器とオロチ一族、ルガール、ユキといった本当にメインストーリーに関わりのある面々だけに限定しているため、紅丸もテリーもリョウもアテナもまるっとガン無視という、他ではなかなか見られない光景を目の当たりにすることが出来ます。
人類とオロチの戦いの歴史
1,800年前に繰り広げられた人類とオロチの死闘、八尺瓊一族がオロチと血の契約を交わして八神一族となった経緯、KOF本編においてオロチ八傑集がいかに暗躍していたかを解説する、一種の設定集です。
今となってはWikipediaでも読めるようなことしか書いてない感じになってしまいますが、当時はゲーム内外の設定をまとめて記載してくれる資料もあまり無かったので、私のような設定オタクにとっては最重要のコーナーと言えました。
イラストノベルス"オロチ"
本書の表題にもなっている、'94~'97の公式チームストーリーやゲーム中のデモ画面で描写される物語に小説風の挿絵を付けた、メインストーリーのダイジェストです。
一応、本書のメインコンテンツということになると思いますが、内容そのものは既出の文章・ゲーム内描写の文字起こしにイラストを挿入しただけの代物なので、好奇心を掻き立てられる新しい発見等は特に無く、個人的には先の「人類とオロチの戦いの歴史」の方が読み応えを感じてしまいます……。
各イラストレーターさんのファンや、自分でもキャライラストを描く趣味がある人の方が価値を理解できるコーナーかもしれませんね。
開発スタッフQ&A
もはやこの手のムック本ではお馴染みの開発スタッフインタビューですが、本書の性質上オロチ一族や三種の神器に関する質問・回答に特化しているため、
といったような設定面の詳細に迫る受け答えが、他の書籍よりも多めに含まれています。発売から20年余りを経た現在では最も資料価値の高いコーナーだと言えるでしょう。
実際にはどんな雰囲気でやり取りしたのか我々には知る由もありませんが、スタッフ側の回答文から受ける印象がかなりドライなのに時代を感じます。
KOFオロチ関連エンディング集
コーナータイトル通り、歴代のエンディングデモの中からオロチとの関係性があるキャラクター(の所属チーム)のものだけを抜粋して掲載しています。