八幡的備忘録

だいぶコレクションが増えてきて、何を持っていて、何を持っていないのかが自分でもよく分からなくなってきたので、その整理を兼ね所有するレトロゲーム雑誌や攻略本、サントラ等の解説と関連する個人的なエピソードとかを書いていこうというブログ。

ギャルズアイランド2

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発売年月日:1993年2月13日(発行:2月28日)
出版社:新声社
項数:142ページ
定価:1,200円(税込)


概要

 新声社のアーケードゲーム専門誌ゲーメスト』の増刊で、ゲームに登場する女性キャラクターの情報を一冊に凝縮したキャラクターデータブックの第二弾。



 前作にあたる初代『ギャルズアイランド』の発行は本書から遡ること3年────1990年5月で、まだ「対戦型格闘ゲーム」というジャンルそのものが確立されていない時期のことでした。

 当然、格ゲーの女性キャラクターなど前回は一人も載っていなかったワケですが、今回は表紙から「はい春麗ドーン!」といったデザインで、彼女がメジャー化を果たした……どころか当時のゲームヒロイン界の頂点に君臨する存在として認知されていたことが分かると思います。



VIDEO GAMES GIRLS BEST30

 本書の、というか『ギャルズアイランド』シリーズを通じてのメインコンテンツとなる、メスト読者の投票に基づくキャラクター人気ランキングです。

 ちなみにメスト本誌のアンケート葉書に本書を対象とした葉書も付いていて、そこに好きな女性キャラクター上位3名の名前と理由を書き込んで送るという投票システムが採られていました。

 一応、好きな男性キャラの上位3名を書き込む欄も設定されていましたが、そちらについての記述は本書には皆無なので、どのくらいの投票が来てどんな結果になったのかは謎のままです。

ゲーメスト』No.80(1992年11月号)付属のアンケート葉書。本書宛ての投稿を募集した段階では
男性キャラ用のコーナーも制作予定だったものの、その後の編集の過程で流れてしまった模様……。




 表紙を見た段階で、中身を1ページも捲らずとも察しがつくことでしょうが、栄えある第1位に輝いたのは春麗となっております。

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 前回の第1位だったワルキューレが、1986年のデビューから6年半を経てなお高い人気を維持して貫禄の2位……は理解できるものの、続く3位にアイレムベルトスクロールアクション『アンダーカバーコップス』のローザという、今の知名度で考えると意外としか言いようがない結果は、なかなか趣深いです。

果たして、30年近く昔の女性キャラ人気投票の結果に需要があるのか分かりませんが……
一応、総合結果を載せておきます。30キャラ中10名をナムコ勢が占めているのが注目点?




 コーナー末尾には「ゲームギャル特選コレクション」と題して、当時のアーケードゲーム界隈を賑わせていた女性キャラたちの画面写真やイラストが8ページにわたって詰め込まれています。

 注目はなんと言っても不知火舞

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 デビュー作餓狼伝説2』のリリースは本書発売の2ヶ月前ということで事実上、人気投票の対象外となり入選こそ逃しましたが、間もなく人気に火が点いて春麗と双璧を成す格ゲーアイドルの代表格に位置づけられることとなります。



 舞のみならず、これ以降の『ギャルズアイランド』では基本的に上位を格ゲーキャラが占めることになるため、まだ非格ゲーキャラが高順位を獲得しているところは「時代を感じる」と言うべき要素なのかもしれません。

 そういう意味では、この1993年初頭という時期は「90年代アーケードゲーム格闘ゲーム」という図式に至る過渡期の雰囲気を味わえる最後の期間と言えるでしょう。



アーケード女性キャラフルリスト

 メーカー別に、本書の発売時点で世に出ていたアーケードゲームに登場する女性キャラを片っ端から紹介する、9ページに垂んとする文字通りのリストです。

 プレイアブルキャラクターや作品のヒロイン、敵キャラとして登場するNPCなどは当然載っているとして、中間デモやエンディングでしか出番がない演出専用キャラ、レースゲームでグリッドに突っ立っているレースクイーン等まで網羅。

 まるで「どんな些細な存在だろうと絶対に見逃さないぜ! 俺は全ての女性キャラを収録するんだ!」と言わんばかりの姿勢からは担当ライターの並々ならぬ執念が感じられます。

このコーナーの担当者は間違いなく、よほど仕事熱心で真面目な人か
とてつもない変態です……仕事熱心で真面目な変態かもしれませんが。




メイキングオブゲームギャル

 各メーカーを代表する人気女性キャラたちが如何にして誕生したかを、開発スタッフへのインタビューという形で紐解く読み物コーナー。

 キャラクター誕生までの経緯や変遷の話は本書以外のゲーム関連本でも散見する要素ですが、「CVの担当が誰で、何故その人が演じることになったのか」といったような、あまり他で見られない突っ込んだ問答も含まれていて、なかなかの読み応えがあります。

カプコンからは当然春麗。現・アリカ代表取締役社長の西谷亮さんが登場します。
一方、SNKではまだ格ゲーキャラになる前のアテナが大きく取り上げられています。


 個人的には、この時点ではユリ・サカザキがプレイアブルキャラになることを想定していないSNKスタッフの「お兄ちゃんにおんぶにだっこ、甘えた、どうしようもない奴や」という辛辣なユリ評が面白くて好きです。



アダルテックゲームズ

 121ページ以降は脱衣麻雀をはじめとした18禁ゲームの女性キャラを対象とした、エロ有りの誌面となります。

 2ヶ月後に稼働を控えていた『スーパーリアル麻雀PⅣ』の特集に始まり、脱衣麻雀のインストカードやパンフレットのギャラリー、そしてアダルト版の「フルリスト」という構成。



 この時代の脱衣ゲームは実在のアイドルや女優にそっくりな画像に、ちょっと名前を変えただけのキャラクターを多々出演させ、「名前が違うから別人です」という題目を唱えて強行突破でバンバン脱がせていたワケですが……任天堂とは無関係」を主張する公道カートが全然許されなかった昨今の事情を鑑みるに、実に恐ろしい話ですよね。

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その他

 ゲーメストムックには付き物の読者投稿によるイラストコーナーや関連グッズ紹介ページは勿論健在。

 変わり種ではキャラクターフィギュアを自作するための制作講座や、メーカー描き下ろしの着せ替え紙人形のページなんかが存在します。

1993年とか、まだカラーコピーが必要な時はコンビニで気軽にって感じじゃなかったし、
リアルにコレ使って遊べるのってある種のセレブだけだったんじゃ……って気もします。




雑感

 プレイヤーとしての私をご存知の方には今更な話ですが、私はどのゲームでも「主人公かライバルかボスキャラ」をメインに据えるタイプなので、基本的に女性キャラを使い込むことが少ないです。

 自分が男であるがゆえの感情移入のしやすさの問題……かと思えばそういうワケでもなく、単に初めて触るタイトルは「とりあえず使いやすそうなスタンダードタイプのキャラで」で始めて、そのキャラを使い続けてしまう悪癖があるため、主人公格の男性キャラがメインになりやすいだけです。



 この傾向は幼少期から一貫しているため、このシリーズにはそんなに興味を持つことがなく、



 「別にプレイ中に役に立つこと書いてるワケでもないし……こんなん買うの女キャラ好きのオタクだけっしょ」



 とか思っていたくらいです。本書を入手したのは格ゲーキャラの設定解説動画を作ろうと思って以降になります。

 今にして思えば、なんで自分がオタクの側に入っていない扱いなのか自分でも意味不明なレッテルですが、まぁ小学生の頃の話ですから、そこに理路整然としたカテゴライズの基準は存在しなかったことでしょう。

 もっと言うと、当時の私のお小遣い事情では世に出る格ゲー関連本をコンプリートすることなど夢のまた夢でしたから、上のような理屈で自分自身を納得させていたのかもしれませんね。