八幡的備忘録

だいぶコレクションが増えてきて、何を持っていて、何を持っていないのかが自分でもよく分からなくなってきたので、その整理を兼ね所有するレトロゲーム雑誌や攻略本、サントラ等の解説と関連する個人的なエピソードとかを書いていこうというブログ。

公式攻略ファンブック GUILTY GEAR コンプリート バイブル

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発売年月日:1998年5月28日
出版社:宝島社
項数:160ページ
定価:1,333円(税別)



概要

 今となっては世界的メジャータイトルの『GUILTY GEAR』ですが、シリーズ第1弾の段階ではプレイステーションのみでひっそりと発売され、特に注目を集めることもなかったマイナー作品に過ぎませんでした。

 それだけにムック本や関連書籍が出されることもほとんどなく、その貴重な一例が本書ということになります。



 ちなみに当時はアークシステムワークスという企業自体、長らく大手パブリッシャーの下請けの開発会社として活動してきて、ようやく自社販売に漕ぎ着けて4年目の新興メーカーという立ち位置にありました。



第二次聖騎士団員選抜武道大会参加者リスト

 無駄に長ったらしいコーナータイトルですが、要するに登場キャラクター紹介です。

 キャラクター別にプロフィールやバックストーリーが載っていますが、ゲームの説明書にも同じものが記載されているため、オマケ的に添えられているデザイン設定画の方が本書ならではの価値を持ってしまっているのはご愛嬌。

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 一応、「攻略ファンブック」を名乗っているので通常技・必殺技の紹介が付随することになりますが、発生・硬直といったフレーム周りはおろか単発のダメージすら載っていないデータなど見せられても、特にありがたみは感じられません……。

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 10人のデフォルトキャラクターは勿論のこと、中ボスのテスタメントや最終ボスのジャスティスについてもしっかり紹介してくれていますが、隠しキャラの梅喧に関しては本書でも隠し扱いということなのか全く触れられていません。



描き下ろしイラストギャラリー

 1キャラにつき3点ずつ、バックストーリーや代表的な必殺技を基にしたイラストが掲載されています。

個人的に好きなのが、奴隷兵士となる前にサッカー選手として活躍していた頃のポチョムキン
アクセルは言われなければ何のイラストだか分からない、その辺の兄ちゃんにしか見えません。




 のちにプレイアブルキャラクターとなる聖騎士団時代のソルの姿が初めて公にされたという点で、それなりに歴史的意義を持つページと言えるのではないでしょうか。

 他方、身だしなみのために川で長い髪を手入れするミリアのイラストなんかは、普段はショートカットで、戦闘時だけ長く伸ばす」という設定からすると奇妙な光景となるため、初代ならではの「なんかまだ固まってない」感があって別の意味で貴重かもしれません。



世界設定

 ハイスピードの攻防と爽快感を追求するゲーム性と並ぶ『GUILTY GEAR』シリーズ最大の魅力がゲーム内外に散りばめられた膨大な設定と、それに基づいた重厚なストーリーです。

 近年の作品ではゲーム内に詳細な用語集が収録されたり、そこらのテレビアニメが裸足で逃げ出す超クオリティのストーリーモードが実装されたり、私のようなマニアでなくとも簡単に作品世界の深淵を味わうことが出来るようになっていますが、初代時点ではゲームの容量や機能的な限界から作中で描写することのできなかった要素も多々存在しました。



 本書はそういったゲーム内で直接触れられない要素────いわゆる「裏設定」の解説がなかなかに充実しており、それらをまとめた「第3章」こそ、今となっては本書コンテンツで一番価値のある部分と言って差し支えないかと思います。

格ゲーには珍しく、ストーリーがほぼ発売順=時系列順に展開するシリーズだけに、
作中で詳細が語られる機会の多くない聖騎士団の組織構造なんかもしっかりと解説。



その他コンテンツ

 第4章はシステム解説、第5章がCPU戦攻略、第6章が対人戦攻略のページとなっています。

 公式の出版物というものは須らくメーカーの許容の範囲内でしか情報を書き記すことが許されないという制約を受けるものですから、攻略部分に関しては正直かなり薄いというか、ヌルいというか……ぶっちゃけ手段を選ばず本気で勝ちに行くプレイングをするなら使い物にならない内容でしかありません。

 まぁ、開き直って「ダッシュキック×∞」なんて書かれたらそれはそれで……という話なんですけども。



 その一方で巻末にはシリーズの生みの親・石渡太輔とメインプログラマー・安部秀之を迎えての開発者インタビュー、第3章同様にゲーム内外の設定を解説してくれる用語集が収録されており、こちらは読み物として非常に高い価値を持っているのでシリーズファンなら押さえておきたいところ。

3Dレンダリングから2Dドット絵に変わった経緯、実質4人だけの超小規模な開発体制ゆえの悲喜こもごも、
ブシドーブレード』に「一撃必殺」の先を越された衝撃、開発中の転職活動など、ぶっちゃけトーク満載。

 

スタンエッジの正式名称など、後年に出された書籍等ではあまり見かけない内容もチラホラ。
カイがガチでソルを嫌っていた時代だけに、ソルの炎に対するコメントが辛辣すぎて笑えます。




雑感

 初代GGが発売された1998年当時の私は10歳の小学5年生でしたから、潤沢な予算をゲーム購入に注ぎ込むことができる身分ではありませんでした。



 この年は1月の『バイオハザード2』を皮切りに『ゼノギアス』、『パラサイト・イヴ』、『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』といったスクウェアの大作が続いた年で、格ゲーに限定しても『DOA』や『鉄拳3』、『KOF'97』の移植を控えていました。

 当然、聞いたこともないメーカーの何だかよく分からない作品にお小遣いは回せませんから、今ではガチガチのシリーズファンの私でさえ初代は敢えなくスルーを決め込みました。

あまり見かける機会もなかった初代GGの広告。経緯は分かりませんが、
電撃PlayStation』だけが当時やたらにGGを猛プッシュしていました。




 2年後、格ゲーブームを牽引してきたSNKの経営危機とカプコンのアーケード市場撤退が取り沙汰されるようになり、ユーザーの間にも対戦型格闘ゲームというジャンルそのものの存続さえ疑う空気が漂う中、続編『GUILTY GEAR X』が彗星のごとくアーケード格ゲー界に殴り込みをかけてきました。



 空中ダッシュや二段ジャンプが当たり前のように存在し、どこからでも技が繋がる超攻撃的なゲーム性……従来の2D格ゲーに飽きていたプレイヤーたちの心をあっという間に鷲掴みにしたGGシリーズは、これまた驚くべき速さで「2000年代前半の2D格ゲーを代表するタイトル」にまで成長します。

 無論、私も鷲掴みにされた人間の一人なワケですが、そうなるとシリーズの原点が気になるのが設定オタクの悲しい性……すぐに中古ゲームショップで初代GGを入手して、異様に難度の高いCPU戦に悲鳴を上げる日々を送ることになりました。



 本書においても触れられていますが、GGシリーズは海外のHR/HMを元ネタとするキャラクターや用語が多いことでも知られています。

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 そうなると、生来ゲームをやったら元ネタの知識まで押さえないと気が済まない病気を患っている私は近所のレンタルビデオ店QUEENやらMETALLICAやらのCDを借りまくるようになるワケですが、わりとマジにそれきっかけで英語が喋れるようになった面があるので、将来への投資としては悪くない成果を上げたと言えるのではないでしょうか。